1日、台湾の蔡英文・中華民国総統は2021年の始まりにあたり新年談話を発表した。
冒頭、2020年に世界中を襲った未曾有の悪疫である新型コロナウイルスに言及。台湾では昨年の年初より水際対策や国内の防疫対策を徹底し、世界的にも類を見ない迅速な対応で「成功」を収めている。2日現在、国内の感染確認者は808名、うち686名が隔離を解除され、感染による死亡者は昨年5月10日を最後に累計7名にとどまっている。
今年2021年に総統就任から5年目を迎える蔡総統は最重要な責任として「変わらない生活(如常生活)」を指摘。グローバル経済の再起への流れに従い前進する決意を語った。
2020年、激動の国際社会において「変わらない生活」を取り戻している台湾はそのプレゼンスを大いに高めた。そして、「グローバル戦略の観点から、台湾の地位はより一層重要になっている」(蔡英文総統)。中でも国際社会が注視しているのは中台関係(両岸関係)の行方だ。蔡総統は「両岸関係の安定は最早、台湾海峡両岸の議題にとどまらず、インド太平洋地域、そして国際社会全体の焦点」と語った。
中国の台湾に対する「文攻武嚇」(言葉による攻撃、武力による威嚇)は2020年も繰り返し行われた。日本も推進している「自由で開かれたインド太平洋」構想の実現においても無視できない重大な脅威である。
蔡総統は「北京当局が対立を解決し、両岸関係を改善する意思があれば、対等と尊厳の原則のもとで意義ある対話を促進することを望む」と中国側に呼びかけた。
一方、習近平・中国国家主席は1日の全国政治協商会議の茶話会において、改めて「一つの中国」原則と「92年コンセンサス」の堅持を断言。加えて2021年が中国共産党成立100周年であり、辛亥革命110周年であることに言及し、「社会主義現代化国家の全面的建設」に向けて前進すると語った。
対等と尊厳に基づく対話を呼びかける蔡総統に対し、「一つの中国」原則と「92年コンセンサス」の堅持で一貫しており「文攻武嚇」を繰り返す中国の間で、一触即発の情勢は今年も変わらないだろう。また中国共産党成立100周年の節目に、「偉大なる中華民族の復興」を掲げる中国が核心的利益としての台湾を「統一」するために武力を行使する可能性も否定できない。
「自由で開かれたインド太平洋」構想を提唱し推進を目指す日本にとって、台湾海峡を含む同地域、そして日本自身の安定と繁栄のために、普遍的価値を共有する台湾との協力が不可欠であることは自明である。
2021年も不透明で不確実な国際情勢だが、日本自らイニシアチブをとって秩序を形成していく覚悟が求められている。今年、日本はCPTPP議長国であり、台湾もまたCPTPPへの加盟を積極的に目指している。議長国として台湾を取り込む決断を期待したい。
冒頭、2020年に世界中を襲った未曾有の悪疫である新型コロナウイルスに言及。台湾では昨年の年初より水際対策や国内の防疫対策を徹底し、世界的にも類を見ない迅速な対応で「成功」を収めている。2日現在、国内の感染確認者は808名、うち686名が隔離を解除され、感染による死亡者は昨年5月10日を最後に累計7名にとどまっている。
今年2021年に総統就任から5年目を迎える蔡総統は最重要な責任として「変わらない生活(如常生活)」を指摘。グローバル経済の再起への流れに従い前進する決意を語った。
2020年、激動の国際社会において「変わらない生活」を取り戻している台湾はそのプレゼンスを大いに高めた。そして、「グローバル戦略の観点から、台湾の地位はより一層重要になっている」(蔡英文総統)。中でも国際社会が注視しているのは中台関係(両岸関係)の行方だ。蔡総統は「両岸関係の安定は最早、台湾海峡両岸の議題にとどまらず、インド太平洋地域、そして国際社会全体の焦点」と語った。
中国の台湾に対する「文攻武嚇」(言葉による攻撃、武力による威嚇)は2020年も繰り返し行われた。日本も推進している「自由で開かれたインド太平洋」構想の実現においても無視できない重大な脅威である。
蔡総統は「北京当局が対立を解決し、両岸関係を改善する意思があれば、対等と尊厳の原則のもとで意義ある対話を促進することを望む」と中国側に呼びかけた。
一方、習近平・中国国家主席は1日の全国政治協商会議の茶話会において、改めて「一つの中国」原則と「92年コンセンサス」の堅持を断言。加えて2021年が中国共産党成立100周年であり、辛亥革命110周年であることに言及し、「社会主義現代化国家の全面的建設」に向けて前進すると語った。
対等と尊厳に基づく対話を呼びかける蔡総統に対し、「一つの中国」原則と「92年コンセンサス」の堅持で一貫しており「文攻武嚇」を繰り返す中国の間で、一触即発の情勢は今年も変わらないだろう。また中国共産党成立100周年の節目に、「偉大なる中華民族の復興」を掲げる中国が核心的利益としての台湾を「統一」するために武力を行使する可能性も否定できない。
「自由で開かれたインド太平洋」構想を提唱し推進を目指す日本にとって、台湾海峡を含む同地域、そして日本自身の安定と繁栄のために、普遍的価値を共有する台湾との協力が不可欠であることは自明である。
2021年も不透明で不確実な国際情勢だが、日本自らイニシアチブをとって秩序を形成していく覚悟が求められている。今年、日本はCPTPP議長国であり、台湾もまたCPTPPへの加盟を積極的に目指している。議長国として台湾を取り込む決断を期待したい。
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